不貞慰謝料は支払ったら終わりではない? 不貞をした者同士の間には「求償関係(求償権)」が問題となり得る?
2026/03/08
不貞慰謝料は支払ったら終わりではない? 不貞をした者同士の間には「求償関係(求償権)」が問題となり得る?
1 求償権とは、分かりやすく説明すると「(概ね)同じ債務について」複数人が支払義務を負う場合に、その内の1人が債権者への弁済(支払い)を行った際に生じる他の債務者への負担割合に応じた返済を求める請求権のことを言います。
求償権が生じる場面の代表的なものとして、①保証人が主債務者に代わって債権者へ主債務を返済した場合や②不貞行為を行った者の内の1人が債権者へ損害を賠償した場合等がありますが、本日は後者の不貞慰謝料を賠償した際に生じる「求償権」についてお話します。
2 まず、説明を行う上で、以下のような事案をイメージしてください。
A氏(夫)とB氏(妻)は婚姻関係にあるところ、A氏と会社の同僚C女は肉体関係(以下「本件不貞行為」という)をもってしまいました。本件不貞行為に気が付いたB氏は、A氏との離婚は思いとどまったが、C女に対して不貞行為に基づく損害賠償請求を行いました。その結果、C女は、B氏に対し、慰謝料として100万円を支払いました。この場合、C女はA氏に対する求償権を取得するため、C女はA氏に対してA氏の負担に応じた金額を求償できることになります。
3 しかし、実際には以下の理由により求償権を行使しないことも珍しくはありません。
(1)B氏との減額交渉の材料として、C女がA氏に対する求償権を事前に放棄することを申し出ることが多いこと
これは、特にAB夫婦が離婚をせず婚姻関係を継続する場合に多いのですが、AB夫婦のお財布(経済面)が一緒の場合、B氏はC女から慰謝料の全額(100万円)を受け取ったとしても、後にC女からA氏への求償権を行使される結果、A氏からC女へ半額程度(50万円程度)が戻ることになります。
そのため、減額交渉の際に、後の求償関係を含めた終局的解決を目指し、今後、A氏に対する求償権を行使しない代わりに支払う金額を半額にしてもらいたいという交渉が行われることが多いです。
また、C女側からのみならずB氏側からも求償権の放棄を和解条件として求めてくることも多いため、離婚に至らず婚姻関係が継続している案件では最終的に求償権放棄を入れる形で合意することが多いように感じます。
(2)C女の立場では、紛争を早期に解決し完全に関係性を断ちたいと考える人が多いこと
賠償を行ったC女の立場では、A氏に対する求償権を積極的に行使することまでは考えず、それよりもトラブルから解放されたいと考える人が意外と多く、求償権放棄の条件が入らず和解が成立している場合(求償権を行使できる状態)であっても、求償権までは行使せずに早期に紛争を終結させることを選択する方も多いです。
(3)求償できる金額自体が低額であることが多く、求償権を行使するために改めて費用や労力をかけたくないと考える方が多いこと
上述(2)の理由の1つとも言えますが、求償権行使により回収できる金額は、一般的には支払った金額の半額程度です。本件で言えば100万円の半額の50万円程度となります。
そのため、請求できる金額自体が少額にとどまることが多いため、弁護士費用をかけてまで回収を図る経済的メリットが低いように感じ、結果としてA氏への求償権行使を断念するという方も多いように感じます。
4 求償権行使の際の請求金額について
それでは、次に求償権を行使する場面を見ていきますが、負担割合としていくら請求できるのかという問題があります。
原則として、B氏(被害者)との関係では、A氏はB氏の配偶者ですから誰よりも不貞行為を行ってはならないという一義的な責任を負っていると考えられることから、一般的には、C女はA氏に対して賠償した金額の6割程度が請求できると解されています。本件でいうとC女は100万円を支払っているため、60万円程度を請求するのが一般的です。
ただ、本件不貞行為に対していずれかが主導的、積極的な役割を果たしていたかという観点から、負担割合は変化します。
例えば、関係解消を切り出されていたにもかかわらず、離婚する等と言い関係の継続を積極的に求めていた場合、年齢や職場での立場から不貞行為を行った者同士の力関係に上下関係が生じる場合、積極的に離婚をするように求めていた場合などです。
そのため、A氏に本件不貞行為の主導的、積極的な役割が認められる場合はA氏の責任割合が7割、8割になることもあれば、C女に本件不貞行為の主導的、積極的な役割が認められる場合はC女の責任割合が5割から7割になることなどもあります。
もっとも、上述の説明はあくまでも一般論であるため、A氏とC女が話し合った結果、C女が支払った全額(100万円)をAが負担するということも可能です。例外的な話ではありますが、全くない話ではなく、C女がB氏へ支払う時点では既にA氏とC女の間でA氏が全額負担する内容で話がついていることも珍しくはありません。
5 まとめ
以上を踏まえて、交渉時には和解条件として求償権放棄を求めるべきか、あるいは求償権放棄を求めない方が良いのかご判断いただければと思います。
しかし、本日の話は、あくまでも一般論であるため、相手方の性格やA氏とC女の関係性などを考慮して最適な選択肢を選んでいただければと存じます。
ゴッディス法律事務所(新宿区)では、不貞慰謝料請求に関する問題にとどまらず、求償権の請求などにも注力しておりますので、お気軽にご相談ください。
なお、初回相談は「電話」「来所」のいずれであっても無料となりますので、是非、初回無料相談をご活用ください。
以上
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